妊娠にエンブレル®は安全?~その1~
2010.02.28.10:33
日本のエンブレル®の添付文書の『6.妊婦、産婦、授乳婦当への投与』の項には、カテゴリーB:動物実験では胎児に対するリスクが確認されていないが、妊婦に対する適切な、対照のある研究が存在しないもの。または、動物実験で有害な作用が確認されているが、妊婦による対照のある研究では、リスクの存在が確認されていないもの。
(1)妊 婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
(2)授 乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合は授乳を中止させること。 動物実験( ラ ット) で 本剤の乳汁移行が認められている。]、となっています。
また、Arthritis Research & TherapyのEtanercept(エンブレル®)の項には、
突然変異の可能性や催奇形性
マウスにおいて、可溶性TNF受容体(エンブレル®)は胎盤通過性があり胎児の血液中に移行すること、しかし妊娠を中断させないこと、胎児の発育を損なわないことが報告されています。ラットやウサギにヒトの60-100倍の容量を用いても催奇形性や胎児毒性を示さなかったことが報告されています(1)。
エンブレル使用中の32例妊娠について、先天性奇形やその他の有害事象に対してのリスクの増加はなかったとの報告があります(2、3)。
授乳
エンブレルが母乳中に含まれることを示した症例報告はあるが、乳児に与える影響は不明です。
結論
• 妊娠中のエンブレル投与は控えるべきである(情報が少ないので) (evidence level IV)。
• 授乳も勧められない (evidence level IV)。
参考文献
(1) Goroir BP, Peppel K, Silva M, Beutler B: The biosynthesis of tumor necrosis factor during pregnancy: studies with a CAT reporter transgene and TNF inhibitors. Eur Cytokine Netw 1992; 3:533-537.
(2) Chakravarty EF, Sanchez-Yamamoto D, Bush TM: The use of disease modifying antirheumatic drugs in women with rheumatoid arthritis of childbearing age: a survey of practice patterns and pregnancy outcome. J Rheumatol 2003; 30:241-246.
(3) Hyrich K, Symmons D, Watson K, Silman A: Pregnancyoutcome in women who were exposed to anti-TNF agents: Results from anational population register. Arthritis Rheum 2006; 54:1786-94.
-Monika Østensen, Anti-inflammatory and immunosuppressive drugs and reproduction, Arthiritis Research &Therapy 2006, 8:209(2010年2月27日にアクセス)
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