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関節リウマチと生物学的製剤と癌のリスク

2012.09.25.06:08

TNF(腫瘍壊死因子)がそのものに抗癌作用があるハズなのに、それを阻害するエンブレルなどのTNF阻害薬で、発癌性があるのではと考えてしまうのは当然なことです。

エンブレルの添付文書にも重要な基本的注意の(8)に「本剤に起因するかどうか明らかでないが」と断って、発癌性に関する注意が記載されています。

生物学的製剤(BRM)で治療されている関節リウマチ(RA)患者の発癌性のリスクについて(Maria A. Lopez-Olivo, Jean H. Tayar, Juan A. Martinez-Lopez,Eduardo N. Pollono, Jose Polo Cueto, M. Rosa Gonzales-Crespo, Stephanie Fulton, Maria E. Suarez-Almazor. Risk of Malignancies in Patients With Rheumatoid Arthritis Treated With Biologic TherapyA Meta-analysis. JAMA 2012;308:898-908)論文を見つけました。

MEDLINE、コクランライブラリ、EMBASEなどのデータベースと、欧州と米国のリウマチ学会の抄録、各国の医薬品規制当局のウェブサイトに12年7月9日までに登録された研究の中から、RA患者に対する、アバタセプト、アダリムマブ、アナキンラ、セルトリズマブ、エタネルセプト、ゴリムマブ、インフリキシマブ、リツキシマブ、トシリズマブの安全性を、偽薬と従来型の抗リウマチ薬のいずれかまたは両方と比較していたランダム化比較試験です。

2万9423人のうち、試験期間中に癌を発症したのは211人(0.72%、95%信頼区間0.63-0.82%)で、118人が固形癌、48人が皮膚癌、14人がリンパ腫、5人がリンパ腫以外の血液悪性腫瘍(白血病や多発性骨髄腫)、26人が詳細不明だった。

BRMが投与された最初の1年での悪性腫瘍の発生率は、とても低く、BRMが単剤投与された3615人中23人(0.64%、0.42-0.95%)、BRMとメトトレキセートを併用された1万5989人中では123人(0.77%、0.65-0.92%)、対照群の9819人では65人(0.66%、0.52-0.84%)であった。

 対照群と比較したBRM投与群のあらゆる悪性腫瘍罹患のPetoオッズ比と相対リスクを、割り付けの組み合わせごとに、さらに割り付けから評価までの期間ごとに求めたところ、BRM群に有意なリスク上昇が見られたのは、TNF阻害薬+メトトレキサートとメトトレキサート単剤を52週時点で比較した場合で、Petoオッズ比は2.1(1.1-3.9)になった。しかし、ランダム効果モデルを用いて推定した相対リスクは1.8(0.82-3.8)で、有意差を示さなかった。さらに、同じ組み合わせの比較でも、治療開始から24週時、104週時、156週時には両群間の差は有意ではなかった。

薬の副作用ってそれだけ見ていると病気になりそうな気がしてくる時があります。その頻度や詳細を調べているといかに反論の余地があるか、見えてくることがあり少しとしています。

病気も、仕事も、家族も色々悩みはつきません。しかし、痛みや発熱(倦怠感)がなく、色々できることに感謝です。
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リウマチ因子

2012.09.21.05:57

朝夕めっきり涼しくなり、虫の声に癒されています。今日もさわやかな日になるそう

スティルと診断される前に、血液検査受けましたか?私は一般的な貧血、肝機能、腎機能などから、リウマチ因子、補体、抗核抗体、フェリチンまで、日本では膠原病関連まで受けました。手指、足指の関節はバリバリ腫れていても、リウマチ因子(RF)と抗CPC抗体は陰性でした。


さて、リウマチ因子が高いと、リウマチになるリスクが高くなるという論文から。Sune F Nielsen, Stig E Bojesen, Peter Schnohr, Børge G Nordestgaard. Elevated rheumatoid factor and long term risk of rheumatoid arthritis: a prospective cohort study BMJ 2012;345)

論文によると、(ポワソン回帰モデルを用いて推定した)RAの10年絶対リスクが最も高かったのは、RFが100 IU/mL超で50~69歳の喫煙女性だった。この条件を満たす人々のほぼ3人に1人がRAを発症すると考えられた。逆に10年絶対リスクが最も低かったのは、RF値が25 IU/mL未満の70歳以上の男性で、リスクは0.1%だった。

RF値上昇が見られる人々は、症状がなくても早期にリウマチ専門医を受診した方がよいことを示唆したと締めくくっています。

関節が腫れていないのに、リウマチ因子を検査するなんて、ちょっと変な気もします。またスティルは除外診断だから、検査したときリウマチ因子が高いと「関節リウマチ」と診断されるのでしょうか。

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高齢出産

2012.09.06.06:30

高齢出産となると、流産・妊娠中毒症・先天異常など、心配事が増えそうな予感です。加えて、健康に生まれても、その後の育児が大変そう(と思うのは私だけかしら?)。授業参観や運動会などの行事におばあちゃんが来ていると思われるのもかわいそうかなぁなんて。

そんな不安を吹き飛ばしてくれる報告がBMJ「英国における高齢出産児の健康と発達から」(-Alastair G Sutcliffe, Jacqueline Barnes, Jay Belsky, Julian Gardiner, Edward Melhuish. The health and development of children born to older mothers in the United Kingdom: observational study using longitudinal cohort data.BMJ 2012; 345)

出産時の母親の年齢が、生まれてきた子供の5歳までの健康と発達に及ぼす影響を調べた観察研究で、母親の年齢が上昇するにつれて、小児の不慮の外傷や入院が減少し、言語発達や社会的発達も良好になることが明らかになりました。

主要転帰評価指標は、不慮の外傷と入院(9カ月、3歳、5歳)、予防接種(9カ月と3歳)、肥満度(3歳時、5歳時)、言語発達と社会的発達です。

統計学によるもので、一概に歳をとっているほうがいいいとも言えません。また、有意差がない結果もありますが、少し勇気づけられます

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エンブレル-使用上の注意改訂

2012.09.04.05:48

朝夕涼しくなりました。いつの間にか蝉の声が、秋の虫の声に変わっています。

エンブレルの副作用の項に「強膜炎」が追加されました。頻度は0.1%未満です。6症例が提示されていて、発現までの日数は15日から19か月と少し開きがあります。治療法はこの6症例では記載されていません。転帰は軽快~回復となっています。(1症例では不明)

「強膜」は白目の部分です。「強膜炎」はその部分の充血と痛みです。痛みはかなり強いようで、人によっては「目をとがったもので刺されたよりも痛い」そうです。炎症がひどいと強膜が壊死して、穴があいてしまうそうです。

そして、リウマチなどの自己免疫疾患で起こってくることも多いそうで、薬の副作用かどうか、見極めることが難しいかもしれません。

一般的に治療は、免疫抑制薬点眼あるいは内服+ステロイド内服です。穴が開いてしまったら、手術することもあるそうです。

白目に違和感や痛みを感じたら、私なら主治医の先生と相談します



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プロフィール

あきママ

Author:あきママ
2006年年12月:男の子を出産。(この時すでに高齢出産のお墨付き)
2009年9月:「関節リウマチ」と診断。病気と闘いながら第2児を授かることが出来るか。
2010年3月:「成人発症型スティル病」と診断。
病気に関することを、楽しく気ままな子育ての記録とともに、書き留めておけたらと思います。
よろしくお願いします。たくさんのコメント頂けると嬉しいです。

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