妊娠すると、、、
2010.11.25.06:54

妊娠すると関節リウマチ(RA)がよくなると聞いたことがありますか?それに関する記事をリウマチe-ネットから。
妊娠はRAに対してワクチン様の防御機構を与えるか?
目的:RAリスクと妊娠歴の関連については、いくつか既報もあるが、いまだ統一された見解は出ていない。妊娠中の胎児細胞の存在によって、妊娠によるRAリスクの変化が説明できるかもしれない。
方法:出産経験数とRAリスクの関連を検討するため、ワシントン州シアトルの前向きコホート研究のデータを使用して、最近RAと診断された女性患者(n=310)と対照女性(n=1418)の比較を行った。またHLA遺伝子型別に出産経験数を算出した。
結果:出産経験数とRAリスク低下は有意に関連していた。相対リスク(RR)は0.61であった〔95%信頼区間(CI) 0.43-0.86、p=0.005〕。RAリスク低下は、出産経験のある、若年の女性で最も顕著であった。もっとも特筆すべきは、RAリスクの低下が最終出産からの経過期間と相関していたことである。RAリスクは最終出産から1~5年経過した女性で最も低く(RR 0.29)、リスク低下のレベルは、出産後の経過期間が長いほど減少した(5~15年:RR 0.51、15年超:RR 0.76、vs 未出産女性、p=0.007)。初産年齢と総出産経験数に関連はなかった。RAリスクが遺伝的に最も高い群(RA関連HLAアレル2コピー)では、「出産経験あり」と「未出産」との間でアレル発現の頻度に有意差が認められた(p=0.02)。
結論:出産経験のある女性でRAリスクが有意に低下することが分かった。RAリスク低下は最終出産からの経過年数と強く関連していた。今回の知見を説明する根拠はまだ得られていないものの、HLA遺伝型の差異が出産後長期にわたり胎児細胞に微量化学的な影響を残し、RAへの一時的な防御機構を与えている可能性が示唆される。
-Does Pregnancy Provide Vaccine-like Protection Against Rheumatoid Arthritis? Katherine A. Guthrie, Carin E. Dugowson, Lynda F. Voigt, Thomas D. Koepsell, J. Lee Nelson Arthritis Rheum 2010; 62: 1842-1848
要するに、出産を経験するとRAのリスクが統計学的に低くなるということです。その可能性として、著者はmicrochimerism(マイクロキメリズム:妊娠母体血中の胎児細胞が、分娩後や中絶後の長期間にわたって存在すること)をあげています。つまり、妊娠中に得た胎児細胞がRAのリスクを何らかの形で低下させるのではないかという仮説です。
病気自体
