リンパ腫の危険性
2011.02.25.05:38
エンブレルの添付文書にも「臨床試験及びその後5年間の長期試験で、悪性リンパ腫等の悪性腫瘍の発現が報告されている」と書かれていますし、論文にも時々見かけます。2010年アメリカリウマチ学会で発表された抄録「Biologics and Risk of Lymphoma in Patients with Rheumatoid Arthritis: A Systematic Review and Meta-Analysis.」から。
メタアナリシス*: 研究の統合と研究の評価を行うもの。リウマチ患者における生物学的製剤とリンパ腫の危険性
目的:Bongatzらの生物学的製剤の試験のメタアナリシス*によると、リンパ腫を含む悪性腫瘍の危険性は3倍に増加するという(JAMA 2006)。しかし、この試験は長期安全性を捕らえるためにデザインされたものではない。Burns氏らはリウマチ患者が使用している生物学的製剤がリンパ腫の危険性につながるかどうかを統計的レビュー**とメタアナリシスを行った。
方法:1990年1月から2010年5月までのMEDLINE、EMBASEとINTERNATIONAL PHARMACEUTICAL ABSTRACTSのデータベースを評価した。
結果:最終的に4つの論文が対象となった。これらはすべてコホート研究で、インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブ、アナキンラに関連したリンパ腫の危険性が報告されていた。
11万9433人が127ヶ月から158ヶ月間追跡調査された。リンパ腫は129件見つかった。統合された危険性推定値は1.20(95%信頼区間は0.80-1.60)であった。
結論: 我々のメタアナリシスではリンパ腫の危険性の上昇は検出されなかった。以前の研究とわれわれの研究の違いは研究タイプ(試験(Trial)と観察的研究)、追跡期間、症例数によると考えられる。
Lindsay C Burns, Mary De Vera, Vidula Bhole1,Yanyan Zhu, Peter Grayson, Devyani Misra, Hyon K Cho.Biologics and Risk of Lymphoma in Patients with Rheumatoid Arthritis: A Systematic Review and Meta-Analysis. 2010 ACR Concurrent Abstract Session: Rheumatoid Arthritis Treatment
統計的レビュー**: 特定の疑問に関して、できるだけ多くの文献を網羅的に集めて、それらが科学的根拠に基づいたものであるかどうか再検討すること。
著者らは今後もさらなる検討が必要であるとしていますが、私にとっては少し安心できる論文でした

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